私の日記帳

日頃の何気ない出来事などを気ままに書き綴っています。

私の爪水虫治療体験談

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このページは、かつて私が経験した爪水虫治療体験を物語風に書きつづったものです。

 

はじめに 水虫はとても身近な現代病

 


水虫は現代病と言われるほど、現代人の多くの方が悩む病気です。

 

昔は水虫というと、主に男性の病気というイメージを持つ方も多かったと思います。

 

しかし今では女性の間でも、多くの方が水虫に悩んでいるといいます。

 

というのは、女性の社会進出により日常のライフスタイルが大きく変わったことが原因のようです。

 

このように今の時代は男女問わず、多くの人が水虫を患っているのです。

 

しかし、普段私たちは、職場の仲間や友人達の間で、水虫を話題にすることはほとんどありません。

 

というのは、水虫というと、なんだかとてもイメージが悪いとみんなが思っているからでしょう。

 

もし自分が水虫であると公言しようものなら、皆から嫌がられてしまうのではないか。

 

という不安が働くのかもしれません。

 

そのため、女性の中には水虫であることを隠し続ける人もいるといいます。

 

「病院の先生に見せるのも恥ずかしい。」

 

そんな思いから病院にもいかずにそのままにしてしまう。

 

または、自分の水虫を見て見ぬふりをしてしまう人もいることでしょう。

 

しかし水虫をあまく見てはいけません。

 

治療せずにそのまま放置すると症状はどんどん悪化してしまう可能性があります。

 

そして症状が悪化すると、私が経験したように、爪が変形し爪の色が白濁する「爪水虫」になってしまう恐れがあるのです。

 

そうなると治療は大変です。

 

昔は爪水虫というと不治の病と言われるほど治療の難しい病気でした。

 

少し前までは、爪をはがしてそこに薬を塗ったりする荒治療が行われたといいます。

 

それでも完治させるのが困難だったのです。

 

しかし現代では治療法が発達してきました。

 

しっかりと病気と向き合い、根気強く治療していけば大抵治るようになったのです。


このページでは、私が水虫に感染し発症する過程から爪水虫に悪化するまでの様子。

 

そして、皮膚科に通い爪水虫を治療するプロセスがわかりやすく記されています。

 

ブログの記事にしては少々長い読み物ですが、すでに水虫や爪水虫になってしまっている人は爪水虫の治療の参考にして頂けたらと思います。

 

水虫ではないという人は、水虫に関する理解を深めるために。

 

または時間つぶしの読み物などとして軽く読み流していただけたら幸いです。

 

水虫感染の体験談の始まり

 

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それまで全く無縁だった水虫を、私が意識し始めたのは、成人式を迎え20代になったばかりの頃だったでしょうか。

 

当時、東京の葛飾区で、父・母・兄・そして私の家族4人で平和に暮らしていました。

 

私は地元の高校を卒業後、都内の小さな会社に就職して働いていました。

 

時代は1990年代初頭、バブル経済が頂点を極め、その後、日本経済が衰退の一途をたどり始めた頃でした。

 

それはさておき。

 

その頃の私にとって、水虫というと、「働き盛りの中年男性が持つ悩み。」

 

というようなイメージが頭の片隅にあった程度で、たまに観る水虫薬のテレビCMが何となく思い浮かぶ程度でした。

 

そんな私のもとに水虫が忍び寄ってきたのは、あることがきっかけでした。


そのきっかけとは、3歳年上の私の兄が水虫に感染したことです。

 

そんな兄の様子をみながら、「そうか、水虫か。ちょっとかわいそうだな。」

 

その程度に軽く聞き流していたものです。

 

しかし、兄の水虫の症状はしだいに悪化していきました。

 

そばで見ていると、とてもかゆそうです。

 

どんどん悪くなる水虫をそのままにしておくわけにいかないと思ったのか、または家族の助言もあったのか、兄は皮膚科の病院へ行くことになりました。

 

そして病院でもらってきた薬を足の患部に毎日塗っていたようです。

 

皮膚科の先生のアドバイスからか、靴も通気性のいいサンダルのようなものを履いていたのを憶えています。

 

そして、そのような生活が功を奏したのか、兄の水虫の症状はだんだん良くなってきました。

 

3か月もするとだいぶ良くなってきたようで、兄の口からも家族の間でも、水虫を話題にする事はなくなりました。

 

こうして我が家の水虫騒動も一件落着したかに見えました。


が・・・。


水虫騒動は終わっていなかったのです。

 

というのは、今度は私に水虫が感染してしまったのです。

 

それもそのはず。

 

今では考えられませんが、兄が水虫で悩んでいる時、風呂場の足ふきマットやトイレのスリッパなど、それら全てを私も素足で共有していたのです。

 

これでは水虫がうつって当然でしょう。

 

こうして、私と水虫との長い闘いの幕が上がったのでした。

 

 水虫の発症

 

兄の水虫が治って数か月。

 

家族の皆が水虫のことなど忘れ、いつもの平凡な日常を送っていました。

 

今は亡き父も当時は健在で、平日は仕事、休日は競馬に行くなど元気でした。

 

母も昔の職場の同僚と旅行に行くなど、子育ても終わってゆとりのできた時間を楽しんでいるようでした。

 

そんなつつましくも平和な我が家に再び水虫の影が忍び寄っていたとは私も気が付きませんでした。

 

季節は気温が上昇する5月の連休頃、暖かく過ごしやすい季節でした。

 

私も釣りなどのレジャーを楽しんでいたのですが、どうも気がかりな症状が足に現れたのです。

 

足の指と指の間の部分がかゆいのです。

 

夜寝ているときなどに自分の足を手でかいてしまうこともありました。

 

そんな気になる足の症状に私もそろそろ認めざるを得ませんでした。


「俺もとうとう水虫かぁ~」

 

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水虫発症のショックから、私はガックリと肩を落としました。

 

しかし、なってしまったものはしようがありません。

 

私はもともと楽観的な性格なので、その後はケロッとしてあまり気にせずそのまま放置してしまいました。

 

しかし症状は進むいっぽうで、かゆみは増してきます。

 

足の指と指の間がじくじくするのも気持ち悪いものでした。

 

そして、さすがの私もこのままではいけないと思ったものです。

 

そんな状況に置かれ、わたしは応急処置として市販の水虫薬を使用することに決めました。

 

 

水虫の市販薬での応急処置

水虫の市販薬で応急処置をしようと思った私は、仕事帰りに近所の商店街にあるドラッグストアーで水虫薬を買って帰りました。

 

 

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自宅に帰り、早速足の患部に塗って様子を見ることにしたのです。

 

そして何日かたつと効き目はすぐに表れました。

 

かゆみも見た目もどんどん改善していくのをみて、「水虫なんて楽勝、楽勝」と思ったものでした。

 

こんな応急処置でもとりあえず以前のように生活できるようになった私は、「水虫なんて大した病気ではない」という認識を強めたのです。


ところがしばらくすると、再びあのかゆくてじくじくする症状が現われたのです。


どうして再び症状が表れたのでしょうか。

 

水虫はまだ完全に治っていなかったのですね。

 

今思い返すと、もともと面倒くさがりの私は毎日の薬の塗布を面倒に感じていました。

 

そんな心理状態だった私は、見た目の表面的な症状の改善を見て、「もう大丈夫だろう」と、気をゆるめてしまいました。

 

そして完全に症状が治まるまで薬を塗り続けずに途中でやめてしまったのです。

 

見た目にはきれいに治ったように見えても、皮膚の中にはまだ水虫菌が生きていたのでしょう。

 

病院でもらう薬に比べると効果の弱い市販薬ですが、根気強く長期間塗り続ければ水虫を完治させることができたかもしれません。


そして、それから10年ほどの期間、私は市販の薬で中途半端に治療しては再発させるような生活を続けてしまうのでした。

 

寒い冬場などは症状もおさまるのですが、暖かい季節になると再び症状が現われるのです。


20代も後半頃になると、日本の不景気はしっかりと板についたようで、就職氷河期とよばれる時代になっていました。

 

私は会社を辞め、非正規社員として様々な仕事をしていました。

 

夜寝る前に、静かに一人で水虫薬を足に塗っていると、先の見えない将来に何とも暗い気分になったものです。

 

そして、テレビのCMで宣伝される新発売のいかにも効きそうな水虫薬をドラッグストアーなどで買っては試していました。

 

しかし、そんないいかげんな水虫治療はいつまでも続きませんでした。

 

あることをきっかけに、真剣に水虫治療をしなければならなくなったのです。

 

それは俗にいう、「爪水虫」というやつにかかってしまったからです。

 

爪の中に水虫菌(白癬菌)が入り込んでしまう厄介な病気です。

 

20代始めに感染した水虫が30代になって巻き爪になり爪水虫に悪化

 

私は30歳を少し過ぎた年齢になっていました。

 

すでに父親は他界し、母と兄との3人で暮らす日々でした。

 

父のいなくなった家の中は結束感のようなものがなくなり、家族がそれぞれ勝手に生きているような状態でした。

 

その頃になると、私は非正規の派遣労働でも最底辺に属する、いわゆる日雇い派遣にも手を出し、その日その日を惰性で生きていたように記憶しています。

 

時代はパソコンとインターネットが一般家庭にも普及してきた頃でした。

 

パソコンを購入し、真っ先に入会した出会い系サイトからのメールに一喜一憂する毎日。

 

そんな暮らしを続けながら、市販の水虫薬を中途半端に塗っては再発を繰り返していました。

 

それが良くなかったのでしょう。

 

水虫の菌は爪の中に入り込んでしまいました。

 

爪水虫に悪化してしまったのです。

 

その結果、爪の色が白く濁って爪の中から白っぽい粉のようなカスが出てくる症状が表れました。

 

さらに爪の形が変形して、いわゆる「巻き爪」になってきたのです。

 

これにはいくら楽観的な私でも、「ちょっとまずいな~」と思ったものです。

 

「このままどんどん症状が進行していくとどうなってしまうのだろうか。」という不安が頭をよぎり始めたのです。

 

そして、そんな自分の曲がった爪を見るのは何とも気持ち悪いものでした。

 

「何とかしなければ・・・。」

 

これでは恥ずかしくて女性の前にも出られないと、彼女がいるわけでもないのに心配したものでした。

 

なによりも、一緒に住んでいる母と兄にうつしてしまうという問題もありました。

 

しかし、一緒に住んでいる家族は症状が出ないだけで、とっくに感染しているのかもしれません。

 

そんな思いから、面倒くさがり屋の私もついに皮膚科の病院へ行くことを決心するのでした。

 

皮膚科の門をたたく

爪水虫を病院で治そうと決めた私ですが、どこの病院に行けばいいのかという問題にぶつかりました。

 

そこで、母に相談すると、評判のいい皮膚科があることがわかりました。

 

母はその皮膚科の存在を友人から聞いたそうです。

 

場所は自宅からバスに乗ったりして40分から50分ほどの場所にあるとのことです。

 

私は、ちょっと遠いいなという印象を受けました。

 

なぜなら皮膚科の病院ならもっと近くに何件かあったからです。

 

しかし、「どうせ治すなら名医に診てもらってしっかり治したい。」

 

という思いから、母から聞いた遠くにあるその皮膚科に行くことに決めたのです。


そして実際に行く当日、保険証をしっかり持ったことを確認すると家をでました。

 

とても良く晴れた日だったと記憶しています。

 

自宅から最寄り駅まで徒歩10分。

 

その駅前にあるバス停からバスに乗車して25分。

 

そして、バスを下車してから歩いて5分ほどの所にその皮膚科はありました。

 

商店街から細い横道にそれた住宅街の中にある白い外観のこじんまりとした建物でした。

 

ちょっと緊張してドアを開けると、せまい待合室には多くの患者さんたちが待っていました。

 

さすが評判がいいだけあり繁盛しているなと思いました。

 

受付でいろいろ質問事項が書かれた用紙を受け取り、その質問事項に記入を済ませ診察の順番を待ちました。

 

20~30分ほど待ったでしょうか、いよいよ自分の番が回ってきました。

 

そして診察室のドアを開けると、年齢が見た目50代後半くらいの男の先生が待っていました。

 

まず自分の症状を話したり、靴下を脱いで爪水虫の患部を見てもらったりしました。

 

そしてこの先生は雑談などの話し好きの人でした。

 

診察とは関係ない話なども時々おりまぜながら進むその診療スタイルに緊張がほぐれました。

 

そして、初診のこの日は検査をすることになりました。

 

足の症状は本当に水虫なのかを調べる検査です。

 

見た目は水虫のように見えても実は違う病気であることがあるそうなのです。

 

なので、しっかりと水虫であることを確認してから治療を進めるとのことでした。

 

そして検査を終えて初日の診察は終了したのです。

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 治療計画を立てる

 

初日の診察から数日が経過し検査の結果を聴きに再び皮膚科を訪れました。

 

前回と同様に待合室には人が多く、椅子に腰かけることはできませんでした。

 

「受付の女性スタッフがいい感じだな~」

 

そのようなことをぼんやり考えながら自分の番を待ちました。

 

やがて自分の番が回ってきました。


検査の結果は、やはり水虫でした。

 

爪の中に水虫菌が入り込んだ「爪水虫」でした。

 

爪水虫の正式名称は「爪白癬」とのことです。

 

先生は次のように話を続けました。

 

爪水虫は治りにくい病気で治療には長い時間が必要になる。

 

しかし、時間をかけて根気強く治療を続ければたいてい治る。

 

そして先生の立てた治療計画は次のようなものでした。

 

飲み薬と塗り薬を併用しながら治療する。

 

定期的に通院し紫外線を患部に当てる。

 

このような治療を半年以上続けるとのことでした。

 

「半年以上か・・・。」

 

そんなに時間がかかるのかと気が重くなりました。

 

しかし、治すにはこれしか方法が無いなら仕方ありません。

 

私はその治療計画に沿って治療を進めることになりました。

 

「久しぶりの病院通いもいいかもしれないな。」

 

「感じのいい女性スタッフたちにも会えることだし。」

 

そんなことを考えながら病院を後にしたのです。

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飲み薬での治療

爪水虫の一般的な飲み薬での治療には2つの形態があります。

 

一つは、1週間連続して飲んだあと何週間か休むというサイクルを続けていく療法です。

 

これをパルス療法というそうです。

 

そしてもう一つは、治るまで毎日ずっと飲み続ける方法です。

 

私が受けたのは、後者の毎日飲み続ける方法でした。

 

病院でもらった薬を毎日飲み続ける。

 

平日でも休日でも毎日忘れずに飲み続けることになります。

 

そして、飲み薬での治療には副作用が出ることもあるそうです。

 

そのため、体調に変化が表れていないかを確かめるため、定期的に血液検査をする必要があります。

 

定期的な血液検査と聞いて、「血液検査の必要があるほど強い副作用があるのか・・・。」

 

と、不安を感じたものです。

 

私は当時、年齢が30代の前半だったので、体力面などを考慮しても、飲み薬での治療に耐えることができるだろうと先生は判断したのでしょう。

 

実際、高齢になると副作用などの問題から、飲み薬での治療は見合わせることもあるそうです。

 

そのため副作用がある飲み薬での治療は、血液検査の結果を確認しながら検査結果に異常が現われていないか常に目を光らせていないとならならないのでしょう。


そんな飲み薬での治療も何日か続けるうちに、ときどき飲み忘れてしまうこともありました。

 

「あっ! 今日は飲み忘れた。」

 

と思っても後の祭りです。

 

薬の飲み忘れと血液検査の結果に気をかけながら続ける治療。

 

爪水虫が治るまでの長い道のり、焦らず気長に歩いていきたいものです。

 

塗り薬での治療

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飲み薬での治療に並行して塗り薬でも治療します。

 

水虫菌を、内と外から攻撃しようという試みなのでしょう。

 

塗り薬も毎日欠かさずに爪水虫の患部に塗ります。

 

爪の周りだけでなく足の裏や指の間など菌が繁殖しそうな部分にも塗ります。

 

中でも爪の生え際である「爪母」という部分にはすり込むように塗布します。

 

そして、薬を効果的に塗るには、薬を塗るタイミングが重要です。

 

特に効果的なタイミングはお風呂上がりです。

 

入浴により皮膚がふやけた時がチャンス!

 

皮膚に薬が浸透しやすいのですね。


(後述しますが、私の爪水虫治療はとても長引きました。今振り返ると、薬を塗るタイミングにもう少し気を配っていればもっと早く治ったかもしれないと思います。)


塗り薬での治療も最初は面倒に感じるかもしれません。

 

でも習慣化してしまえばどうということはありません。

 

毎日の歯磨きのように生活の一部にしてしまえばいいのです。

 

塗り薬による治療も長期間つづけなければなりません。

 

途中で投げ出さず、気長につづけていきましょう。

 

紫外線を照射する治療

私が通った皮膚科の病院では紫外線の照射による治療も行われました。

 

2週間に1回。時間は数分間でした。

 

靴下を脱いで、爪水虫の患部に紫外線を照射します。

 

紫外線で水虫菌にダメージを与えるのが目的のようです。

 

治療を受けるのはとても簡単でした。

 

紫外線をあてている間は何もしないでじっと待ちます。

 

痛くもかゆくもありません。

 

ただ終わるのをじっと待っているだけです。

 

こんな時間の過ごし方も普段では味わえないのでおつなものでした。

 

また、靴下を脱いだり履いたりしないとならないのが少々面倒でした。

 

次の人が待っていたりするので素早く脱いだり履いたりしないとなりません。

 

おかげで靴下を脱いだり履いたりするのが早くなったものです(笑)。

 

皮膚科通いの日々

 


検査をして治療のプランを立てた私は、その皮膚科の病院に2週間に一度通うことになりました。

 

実際に通院し始めると、「しっかりと治療をしている」という思いからか気持ちも楽になりました。

 

日を追うごとに改善していく水虫の症状に、治療に対するモチベーションも上がります。

 

水虫を悪化させてしまったのは病気を一人で抱え込んでしまったのが良くなかったのでしょう。

 

「もう少し早くお医者さんに診てもらえばよかった。」

 

と、つくづく思ったものです。

 

通院する日は仕事が休みの土曜日の午後に行くことにしました。

 

病院が土曜日の午後もやっているのは私にとってとても助かりました。

 

土曜日の午前中は仕事で疲れた体を休めたかったのです。


そして、病院通いをするとなると無視できないのが費用の問題です。

 

爪水虫の治療に使う飲み薬や塗り薬、そして血液の検査代などにかかる費用はばかになりませんでした。

 

また爪水虫の治療には長い期間を必要とするので、その間ずっと払い続けないとならないのです。

 

私は実家住まいでしたが、仕事が非正規雇用だったこともあり、医療費の支払いはけっこう大変でした。

 

交通費のバス代往復420円も痛い出費でした。

 

そのため最初の頃はバスで通っていましたが、交通費節約のため、次第に自転車で通うことが多くなりました。

 

しかし、自転車で通うのも今思い返すといい思い出です。

 

普段通ることのない道を通ったり、見慣れない街並みを眺めながら自転車を走らせるのはいいものでした。

 

長期間の通院には、雨の日も晴れの日もあり、プライベートでも落ち込んでいるときもあれば、その逆もありました。

 

受付に診察券を出し、待合室で雑誌などを静かに読みながら順番を待つ。

 

そして診察室で先生と時候の挨拶や他愛のない短い会話をしながら爪水虫の様子を診てもらう。

 

そんな日々を四季の移ろいと共に何気なく過ごしたものです。

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治療期間の思い出

2週間に一度、土曜日の午後に定期的に病院通いをしていれば、それなりの思い出も残るものです。

 

病院通いと言っても水虫の治療です。

 

自由に体は動くので病院帰りにはどこかへ寄り道をしたくなるものです。

 

私の通っていた皮膚科の病院から少し足をのばすと、大きなアーケード商店街などがある繁華街に行くことが出来ます。

 

病院から解放され、土曜日ということもあって、病院へ行くたびにその繁華街に行ったものです。

 

といっても、遊ぶお金がないので大したことは出来ません。

 

ただ商店街をお店などを眺めながら歩く程度です。

 

そんな私ですが、少しお金にゆとりがあったときに昔ながらの喫茶店に入ったことがありました。

 

いにしえの昭和風情を感じるような喫茶店でした。

 

暗めの照明の店内で、店に置かれたスポーツ新聞を読みながらアイスコーヒーを飲んだひと時。

 

どうということのない、週末のありふれた時間ですが、今思い返すとなんだかとても懐かしく感じるものです。

 


また、暑い夏の季節に、皮膚科の先生が、「水虫なら海に行くといい。」

 

と言っていたので、それを口実に千葉の九十九里浜へ海水浴に行ったりもしました。

 

仕事の派遣先で知り合った友人を誘い、当時なけなしの金をはたいて買った小型の中古車で京葉道路を飛ばして行きました。

 

普段せせこましい都会暮らしをする者にとって、良く晴れた青い空に、広い砂浜は感動的な解放感を与えるものです。

 

砂浜を素足で歩き、冷たい海水に足を浸せば水虫菌も殺菌されるように感じたのは気のせいでしょうか。

 

何はともあれ、水虫になり、そして皮膚科の先生と出会い、それがきっかけで海に来た。

 

水虫にならなければ海には来なかったかもしれない・・・。

 

そう思うと、人の運命と人生の不思議さを感じずにはいられませんでした。

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九十九里浜 片貝海岸にて海水浴する筆者。S・T氏撮影

 

爪水虫の完治

最初、爪水虫が完治するまで6か月以上かかると聞いていました。

 

なので自分も6か月くらい通えば良くなると考えていたのです。

 

しかし、6か月を経過しても治療は終わりませんでした。

 

爪水虫の症状も、外観はだいぶ良くなったのですが、まだ完全ではないことは私にもわかりました。

 

「この治療、いつまで続けなければならないのだろう?」

 

そんな不安をよそに治療期間は、一か月、さらに一か月と長引いていくのでした。

 

先生も「あともう少し頑張ろう」というようなことを言うだけで、あと何か月かかるかには言及しませんでした。

 

そんなことが続くうちに、

 

「この先生、名医ではなくて、本当はおしゃべり好きが特徴の『名物医』なのではないか?」

 

という何とも失礼な疑問が頭をもたげはじめました。

 

それでも、6か月以上通っていれば何となくここに来るのが習慣化してしまい惰性のように通う日々が続くのでした。

 

ここに来れば感じのいい女性スタッフ達にも会えるし、運が良ければ仲良くなれるかもしれない。

 

などという淡い期待も持ちながら隔週土曜日の午後に健気に通う自分がいたのです。


最終的に私の通院期間は13か月に及びました。

 

飲み薬の治療が長引き、副作用が心配でしたが、どうにか治療を終えることが出来ました。

 

先生も、「よく頑張ったね!!」

 

と、長期にわたり根気強く通院した私を褒めたたえてくれました。

 

変形していた爪もほぼ正常に戻りました。

 

しかし、見た目は治ったように見えても水虫菌がまだいるかもしれません。

 

飲み薬をやめた後も、塗り薬はしばらく塗り続けるように言われました。


かつては不治の病とまで言われた爪水虫。

 

それを治してくれたのだから、ここの先生はやっぱり名医なんだと思いました。

 

こうして終わった私の爪水虫の治療ですが最後まで続けられたのは先生をはじめ多くの人達のおかげです。

 

この場を借りて感謝を申し上げます。

 

ありがとございました。

 


追記

爪水虫の治療を終えて、あれから10年以上が経ちました。

相変わらず私の生活は安定ぜず、いずれ訪れるであろう母親の介護など、問題は次から次へと押し寄せます。

しかしありがたいことに、水虫はあれから再発もせず無事に過ごせています。

でも油断はできません。

水虫菌は私たちの身の回りにたくさんいるのです。

これからも再発予防に気を配りながら、人生の荒波に負けないよう生きていこうと思う次第です。

 

--- 完 ---